『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 GAFAを超える最強IT企業』

『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 GAFAを超える最強IT企業』

面白いに決まっている。ネットフリックス創業の1998年から2011年までを描いたルポ。

つまり現ネットフリックスCEOのリード・ヘイスティングスが36歳の時に「郵便DVDレンタル」を行うネットフリックスを立ち上げ、共同創業者のランドルフが去り、Amazonをはじめとする競合との熾烈な戦いの果てに、会員数1000万人を突破し、現在のストリーミングサービスを立ち上げるまでの物語。

「まるでマッドサイエンティストが集まるラボのようだった」創業時代から、「家族的クリエイター集団文化」と決別し、経営のプロが主導するトップダウン型組織」に転換していく様子。創業者同士の人間模様。相次ぐ参入との血で血を争う戦い。

ソーシャルメディアが台頭する中、エッジの効いたサービスをどのようにマスに浸透させていくか、広報・マーケティングの教科書としても、経営戦略の話としても、テクノロジーとエンターテイメントが融合する時代のケーススタディとしても面白い。

惜しむらくは、取材の正確さにこだわるあまり、ヘイスティングスが経営に復帰してからのネットフリックス社内の描写が少なく(取材協力は拒否されたという)中盤では競合企の描写が多いこと、オリジナル作品を制作開始する2012年の手前で終わっていること(出版が2012年)。

ただ冒頭の日本語版特別寄稿として、2012年から2018年の後日談が掲載されている。ここでネットフリックスが「ハウス・オブ・カード」の監督となるフィンチャーをどう口説いたか、これだけで一冊の本になりそう(彼らは手元のビッグデータを切り札に使った)。

DVDレンタル事業から始まり、封筒にDVDを詰めていたネットフリックスは、20年で世界を支配するメディアに躍り出た。コンテンツの形もビジネスモデルも、想像がつかないほど変わっていくだろう。本の続きを、現実で目のあたりにしている。